
新エネルギーは現代社会におけるエネルギー転換の鍵となる重要な技術群です。本研究では、新エネルギーの定義から種類、現状、導入促進政策、そして将来展望までを包括的に分析しました。日本の法律で明確に定義された新エネルギーは、技術的には実用段階にあるものの経済性などの理由から普及が不十分な非化石エネルギー源として位置づけられています。太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、小水力発電、地熱発電などの主要技術は着実に普及が進んでいますが、課題も少なくありません。特に日本はエネルギー自給率が12.6%(2022年)と低く、再生可能エネルギーへの転換が急務となっています。FIT制度などの政策支援により導入は進展していますが、出力の不安定性や系統連携の問題、コスト面の課題が残っています。将来的には技術革新とコスト低減、制度改革を通じて、これらの新エネルギーが日本のエネルギーミックスの中核を担うことが期待されています。
※本ページは、AIの活用や研究に関連する原理・機器・デバイスについて学ぶために、個人的に整理・記述しているものです。内容には誤りや見落としが含まれている可能性もありますので、もしお気づきの点やご助言等ございましたら、ご連絡いただけますと幸いです。
※本ページの内容は、個人的な学習および情報整理を目的として提供しているものであり、その正確性、完全性、有用性等についていかなる保証も行いません。本ページの情報を利用したこと、または利用できなかったことによって発生した損害(直接的・間接的・特別・偶発的・結果的損害を含みますが、これらに限りません)について、当方は一切責任を負いません。ご利用は利用者ご自身の責任でお願いいたします。
1. 新エネルギーの定義と概要
1.1 新エネルギーの法的定義
新エネルギーとは、日本の法律において明確に定義された用語です。平成9年(1997年)4月に施行された「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」(通称:新エネ法)では、新エネルギーを「非化石エネルギーのうち、経済性の面における制約から普及が十分でないものであって、その促進を図ることが非化石エネルギーの導入を図るため特に必要なもの」と定義しています1317。この法律は、エネルギー・セキュリティ確保と地球温暖化問題への対策として、資源制約や環境負荷の少ない新エネルギーの加速的な開発および導入促進を目的としています13。
新エネルギーは、主に石油代替エネルギーとして位置づけられ、技術的には実用段階に達しているものの、コスト面など経済的な理由から十分に普及していないエネルギー源を指します。具体的には、新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法の施行令において10種類が指定されています121519。
1.2 新エネルギーと再生可能エネルギーの違い
新エネルギーと再生可能エネルギーは、しばしば混同されますが、厳密には異なる概念です。「再生可能エネルギー」は、広義の意味では、石油や石炭、天然ガスといった有限な資源である化石エネルギーとは違い、太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーのことを指します1219。
再生可能エネルギーの特徴は以下の3点に集約されます19:
- 枯渇しない
- どこにでも存在する
- 地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しない(増加させない)
新エネルギーは、この再生可能エネルギーの中に含まれる位置づけになります12。ただし、すべての再生可能エネルギーが新エネルギーとして分類されるわけではありません。例えば、大規模な出力の水力発電やフラッシュ式の地熱発電は、経済性が成立する発電技術であることから新エネルギーからは対象外とされています。また、波力発電や潮流発電、海洋温度差発電などは、技術的に研究開発段階にあることから新エネルギーには含まれていません12。
1.3 新エネルギーが注目される背景
1.3.1 エネルギー安全保障の観点
日本はエネルギー資源の多くを海外からの輸入に依存しており、エネルギー自給率は非常に低い状態が続いています。FIT制度(固定価格買取制度)施行時の2012年と2022年を比べると、日本のエネルギー自給率は6.7%から12.6%へと約2倍になりましたが、それでも国際的に見れば低い水準にとどまっています10。こうした状況は、国際情勢の変化によってエネルギー供給が不安定になるリスクを常に抱えていることを意味します。
特に2011年の東日本大震災以降、原子力発電所の停止に伴い化石燃料への依存度が増加し、エネルギー自給率の低さが改めて問題視されるようになりました10。新エネルギーは国内で生産可能なエネルギー源であり、その導入拡大はエネルギー安全保障の強化に直結します。
1.3.2 地球温暖化対策の観点
地球温暖化対策は国際社会全体で取り組むべき喫緊の課題となっています。化石燃料の燃焼によって排出される二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスは、地球温暖化の主要な原因とされています。
新エネルギーのほとんどは、発電時にCO2を排出しないか、または排出量が非常に少ないという特性を持っています。例えば、水素エネルギーは使用するときに二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであり、再生可能エネルギー由来の電力を利用して水を電気分解して製造する「グリーン水素」は、製造時もCO2を出さず環境負荷が一層低いエネルギーとして期待されています9。
世界各国が2050年までのカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)を目指す中、新エネルギーの導入拡大は不可欠な取り組みとなっています。
1.3.3 資源枯渇問題への対応
石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料は有限の資源であり、いずれは枯渇することが避けられません。これに対し、太陽光、風力、地熱などの新エネルギー源は枯渇の心配がなく、持続的に利用することが可能です。
例えば、地熱発電の熱源となるマグマ溜まりの温度は650〜1,000℃で、寿命は数万年から数十万年以上と考えられています。また、地熱貯留層に浸透する水はほとんどが雨水であるため、計画的に使用すれば再生可能で永続的な利用が可能です5。このような持続可能性は、長期的なエネルギー戦略を考える上で大きな利点となります。
2. 新エネルギーの種類と特性
2.1 太陽光発電
2.1.1 太陽光発電の仕組み
太陽光発電は、太陽の光エネルギーを直接電気に変換する技術です。太陽電池は、シリコンや化合物などの半導体で作られており、この半導体に光が当たると電気が発生する仕組みになっています20。具体的には、太陽の光が太陽電池に当たると、半導体内部で電子が励起され電流が流れることで発電します。
太陽光発電システムは主に、太陽電池モジュール(太陽光パネル)、パワーコンディショナー(インバーター)、配線、架台などから構成されています。太陽電池モジュールで発電された直流電力は、パワーコンディショナーによって家庭やビルで使用できる交流電力に変換されます。
2.1.2 太陽光発電の現状と課題
太陽光発電は、日本においてFIT制度(固定価格買取制度)導入後、急速に普及が進んだ新エネルギーの一つです。設置場所の制約が少なく、メンテナンスも比較的容易なことから、住宅用から大規模発電所まで幅広く導入されています。
太陽光発電における主な課題は以下のとおりです:
- 発電コスト:FIT制度導入後、太陽光発電のコストは大幅に低減しましたが、2022年時点でも国際水準と比較すると高い状態にあります10。技術革新によるさらなるコスト低減が求められています。
- 発電効率:太陽光発電の変換効率は約20%程度で、他の再生可能エネルギーと比較すると中程度です2。効率向上のための研究開発が継続的に行われています。
- 気象条件による発電量の変動:太陽光発電は天候や時間帯によって発電量が大きく変動するため、安定した電力供給のためには蓄電池などの併用や電力系統全体での調整が必要になります。
- 設置面積:大規模な発電量を確保するためには広い設置面積が必要であり、土地利用の面での制約があります。
2.1.3 太陽光発電の導入事例
太陽光発電の導入事例としては、住宅用の屋根置き型、大規模なメガソーラー(大規模太陽光発電所)、建物一体型(ビルの壁面や窓に設置)などが挙げられます。特に近年は、全世帯太陽光発電付き集合住宅など、集合住宅への導入も進んでいます16。
また、企業や自治体による大規模な太陽光発電所の建設も活発に行われています。例えば、大規模太陽光発電システムでは、発電効率を高めるためにモジュールへの散水効果を検証するなどの取り組みも行われています1114。
2.2 風力発電
2.2.1 風力発電の仕組み
風力発電は、風の運動エネルギーを風車によって回転エネルギーに変え、その回転力を直接、または増速機を経て、発電機に伝えることで発電する仕組みです2。風が持つ運動エネルギーは風を受ける面積に比例し、風速の3乗に比例して増大する性質があります。そのため、風速が2倍になれば、風力エネルギーは8倍になるという特徴があります2。
代表的なプロペラ型風力発電機は、「ブレード」「ナセル」「塔体」の3つの主要部分から構成されています2:
- ブレード:上部にある3枚のブレードはハブによってロータ軸に連結されており、風を受けて回転します。
- ナセル:増速機やブレーキ装置、発電機を格納しています。
- 塔体:円柱状の支柱の役割を果たします。
2.2.2 風力発電の種類(陸上・洋上)
風力発電は設置場所によって大きく「陸上風力発電」と「洋上風力発電」に分類されます。また、形式によって「水平軸風車」と「垂直軸風車」に分けられます2。
陸上風力発電
日本では丘陵や海岸沿いに風の強い場所が存在するため、それらの場所に陸上風力発電が設置されます。一般に風速4〜25m/sの場所が適しているとされています。設置にあたっては、風況の良さに加え、風車パーツの輸送のしやすさ、住民の住まいからの距離なども重要な要素となります2。
洋上風力発電
海洋に設置する洋上風力発電機には、「着床式」と「浮体式」の2タイプがあります2:
- 着床式:発電機を海底に固定するタイプで、水深の浅い海域に大型の発電機を設置できますが、適地が限られます。
- 浮体式:発電機を洋上に浮かべるタイプで、場所を選ばずに多数設置が可能ですが、発電機の大きさや発電効率に制限があります。
近年は特に洋上風力発電が注目を集めています。陸上に比べて安定した強い風が得られること、広大な設置スペースを確保できること、騒音や景観への影響が少ないことなどが理由です2。
2.2.3 風力発電の現状と課題
風力発電は、再生可能エネルギーの中でも比較的発電効率が高く、約30~40%の変換効率を持っています2。これは太陽光発電(約20%)よりも高い効率です。また、夜間でも発電が可能であることや、費用対効果が高いことなどのメリットがあります2。
一方で、風力発電には以下のような課題もあります:
- 立地条件の制約:安定した風が吹く場所が限られることや、風車の設置・メンテナンスのためのアクセス性が必要です。
- 環境への影響:鳥類への衝突リスク、低周波音、景観への影響などの環境問題が指摘されています。
- 出力の変動:風況によって発電量が変動するため、電力系統への接続や安定供給に課題があります。
- 初期投資コスト:特に洋上風力発電では、建設・設置コストが高額になります。
2.3 バイオマス発電
2.3.1 バイオマスとは
バイオマス(biomass)とは、動植物などから生まれた生物資源の総称です8。具体的には、木材、農作物、食品廃棄物、家畜排せつ物、下水汚泥などが含まれます。バイオマスは、太陽エネルギーを利用して生物が生産した有機物であり、燃焼しても大気中の二酸化炭素を増加させない「カーボンニュートラル」な特性を持っています。
2.3.2 バイオマス発電の仕組み
バイオマス発電は、バイオマス資源を直接燃焼させたり、ガス化して燃料とするなどの方法で熱エネルギーを取り出し、その熱でタービンを回して発電する仕組みです8。主な方式としては以下があります:
- 直接燃焼方式:バイオマスを直接燃焼させてボイラーで蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回して発電します。最も一般的な方式です。
- ガス化発電方式:バイオマスを高温で熱分解して可燃性ガスを生成し、そのガスでエンジンやガスタービンを動かして発電します。
- メタン発酵方式:微生物の働きによりバイオマスを発酵させてメタンガスを生成し、そのガスを燃料として発電します。
2.3.3 バイオマス発電の現状と課題
バイオマス発電は、太陽光発電や風力発電とは異なり、気象条件に左右されず安定した発電が可能な再生可能エネルギーとして注目されています。また、間伐材や食品廃棄物などの廃棄物処理と組み合わせることで、資源の有効利用や廃棄物削減にも貢献します。
バイオマス発電における主な課題は以下のとおりです:
- 原料の安定確保:持続的な発電のためには、バイオマス資源の安定的な供給が必要ですが、収集・運搬のコストや季節変動などの課題があります。
- 発電効率:バイオマス発電の変換効率は約20%程度と、他の発電方式と比較して必ずしも高くありません2。
- 経済性:設備投資や運転コストが比較的高く、経済性の確保が課題となっています。
- 環境への配慮:バイオマス資源の生産や収集、輸送、発電過程における環境負荷の低減が求められます。
2.4 小水力発電
2.4.1 小水力発電の定義と仕組み
小水力発電(Small hydro)とは、小規模な水力発電を指します。日本では一般的に、出力1,000kW(1MW)以下の水力発電を小水力発電と呼び、新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネ法)の対象となっています4。さらに詳細には、以下のように区分されることが多いです4:
- 小水力(small hydro):1,000~10,000kW
- ミニ水力(mini hydro):100~1,000kW
- マイクロ水力(micro hydro):100kW以下
- ピコ水力(pico hydro):10kW以下
小水力発電の仕組みは、水の位置エネルギーや運動エネルギーを利用して水車を回転させ、その回転力で発電機を動かして電気を生み出すというものです。従来の大規模水力発電とは異なり、ダムなどの大規模な設備を必要とせず、河川や用水路、上下水道など比較的小さな水流を利用することができます4。
2.4.2 小水力発電の利点と適用例
小水力発電の大きな利点は、ダムも大規模な水源も必要とせず、小さな水流であっても比較的簡単な工事をするだけで発電できることにあります4。このため、以下のようなさまざまな場所で適用が可能です:
- 山間地の小河川
- トンネル内からの湧水
- 農業用水路
- 上下水道施設
- ビル施設内の配管
- 工場内の高低差のある配水管
特に注目すべき事例として、東北小水力発電(秋田市)は豊田通商と連携し、トヨタ自動車のハイブリッド車(HV)「プリウス」のHVユニット(モーターやインバーターなど)を再利用して、低価格かつ高効率なシステムを開発しています4。これにより、通常の部品を使用する場合に比べて2分の1から3分の1の価格(約600万円程度)でシステムを構築できるようになり、小水力発電の経済性向上に貢献しています。
2.4.3 小水力発電の現状と課題
小水力発電は、水力発電の中でも特に環境負荷が少なく、比較的少ない出費から行うことができる技術として期待されています。日本では未開発の小水力発電の出力は約660万kw分あり、原発1基の出力を100万kWとすると原発6.6基分の出力が見込めるポテンシャルがあります4。
しかし、小水力発電の普及には以下のような課題があります:
- 規制の存在:日本においては、複数の省庁によって様々な規制(特に河川法)が設けられるため、長年にわたりその普及が困難でした。近年規制緩和が進んでいるものの、依然として一定の規模を超えると資格者の選任や保安規定による管理などが必要となり、規制によるコストがかかります4。
- 他省庁の規制:農水省所管の農業用水に関する規制、国土交通省所管の慣行水利権に係る水利使用の許可手続きなど、複数の省庁の規制に対応する必要があります4。
- 初期投資:設備の導入には一定の初期投資が必要であり、投資回収までの期間が課題となることがあります。
- 立地条件:適切な水量と落差が確保できる場所が限られるため、立地条件による制約があります。
2.5 地熱発電
2.5.1 地熱発電の仕組み
地熱発電は、地下深くに存在するマグマの熱によって温められた熱水や蒸気を利用して発電する方式です。地熱発電において、火力発電所のボイラーにあたるのが「地熱貯留層」です5。
地熱貯留層とは、マグマ溜まりの熱で加熱された水が高温の熱水や蒸気となって水を透しにくい岩盤の下やその隙間に溜まった層を指します5。地表から地熱貯留層まで井戸(生産井)を掘り、そこに溜まった高温・高圧の蒸気や熱水(地熱流体)を取り出します。
取り出された地熱流体は、気水分離器で蒸気と熱水に分離され、蒸気はタービンを回して発電します。利用後の熱水は還元井を通して再び地中深くに戻されます。タービンを通過した蒸気は復水器で冷却され、凝縮して温水となります。この温水は冷却塔を通ってさらに温度が下げられ、冷却水として蒸気の凝縮に再利用されるというサイクルを形成しています5。
2.5.2 地熱発電の種類と特性
地熱発電には主に以下の3種類があります:
- フラッシュ方式:地熱貯留層から取り出した高温・高圧の熱水を減圧して蒸気と熱水に分離し、その蒸気でタービンを回す方式です。最も一般的な地熱発電方式ですが、新エネルギーとしては分類されていません12。
- バイナリー方式:地熱流体の熱を利用して、沸点の低い媒体(アンモニアや炭化水素など)を加熱・蒸発させ、その蒸気でタービンを回す方式です。比較的低温の地熱資源でも発電が可能で、新エネルギーとして分類されています1213。
- 直接蒸気方式:地下から直接取り出した蒸気を用いてタービンを回す方式です。
地熱発電の大きな特徴は、太陽光発電や風力発電と異なり、天候や時間帯に左右されず、安定した発電が可能であることです。また、設備利用率も高く、長期間にわたって安定した電力供給が期待できます。
2.5.3 地熱発電の現状と課題
日本は世界第3位の地熱資源保有国であり、地熱発電の潜在的なポテンシャルは非常に高いと言われています。しかし、実際の開発・利用は限定的です。
地熱発電における主な課題は以下のとおりです:
- 開発リスクと初期コスト:地熱資源の調査・探査には多額の費用と時間がかかり、資源の存在が確認できても実際に発電に適した熱量が得られるかどうかは掘削してみないとわからないというリスクがあります。
- 立地制約:日本の場合、有望な地熱資源の多くは国立・国定公園内にあり、開発に制約があります。また、温泉事業者との調整も必要です。
- 長期的な資源管理:地熱資源を持続的に利用するためには、適切な資源管理が必要です。過剰な汲み上げは地熱貯留層の枯渇を招く恐れがあります。
- 環境影響:硫化水素などの有害物質の排出や、地盤沈下、誘発地震などの環境影響への配慮が必要です。
2.6 その他の新エネルギー
2.6.1 太陽熱利用
太陽熱利用は、太陽の熱エネルギーを直接利用する技術です。太陽光発電が光を電気に変換するのに対し、太陽熱利用は太陽光の熱を直接集めて利用します。主な用途は給湯や暖房、冷房(吸収式冷凍機との組み合わせ)などがあります。
太陽熱利用システムは、太陽熱集熱器(一般的には黒い面に太陽光を当てて熱を集める装置)と蓄熱槽(集めた熱を貯める装置)から構成されています。比較的シンプルな構造で、メンテナンスも容易であることが特徴です。
2.6.2 雪氷熱利用
雪氷熱利用は、冬季に降る雪や凍結した氷を保存し、夏季の冷房などに利用する技術です。雪や氷が溶ける際に周囲から熱を奪う性質(融解熱)を利用するものです。
雪室(ゆきむろ)や氷室(ひょうむろ)として古くから利用されてきた技術ですが、現代では断熱技術の進歩により大規模な雪氷熱利用施設が建設されるようになりました。雪氷熱利用は、特に冬季に多量の雪が降る地域において、除雪コストの低減と夏季の冷房エネルギー削減を同時に実現できる技術として注目されています。
2.6.3 温度差熱利用(地中熱)
温度差熱利用は、異なる温度の環境間の温度差を利用してエネルギーを取り出す技術です。特に地中熱は、年間を通じて比較的安定した温度を保つ地中と地上との温度差を利用するものです。
地中熱利用システムは、地中に埋設した熱交換器と、地上に設置されたヒートポンプから構成されます。夏は地中に熱を逃がし、冬は地中から熱を取り出すことで、冷暖房に利用することができます。地中熱は年間を通じて安定した温度を保つため、高効率なエネルギー利用が可能となります。
2.6.4 波力・潮力発電
波力発電は、波のエネルギーを利用して発電する方法です。波の上下振動を利用したもの、海流を利用したもの、ジャイロ式のものなど、様々な方式があります7。
潮力発電は、潮の満ち引きによる海水の移動(潮流)や潮位差を利用して発電する方法です。
これらの海洋エネルギーを利用した発電技術は、まだ技術的に研究開発段階にあるため、現在の日本の法律上では新エネルギーとして分類されていません12。しかし、海に囲まれた日本においては、将来的に有望なエネルギー源となる可能性を秘めています。
3. 水素エネルギーと燃料電池
3.1 水素エネルギーの特性と可能性
水素エネルギーとは、地球上で最も軽く、豊富に存在する水素を利用したエネルギー形態です。水素を酸素と反応させると、電気と水が発生します。その電気はエネルギーとして利用できますし、水素を直接燃やしてエネルギーをつくり、利用する方法もあります9。
水素エネルギーの主なメリットは以下の3点です9:
- 使用時にCO2を排出しない:水素は使用するときに二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであり、地球温暖化を防ぐ手段として期待されています。特に再生可能エネルギー由来の電力を利用して水を電気分解して製造する「グリーン水素」は、製造時もCO2を出さない環境負荷の低いエネルギーです。
- 様々な資源から製造可能:水素は水を電気分解することで取り出せるほか、石油や天然ガス、バイオマスや下水汚泥など様々な物質から製造できます。このことはエネルギーの安定供給にも寄与します。
- 再生可能エネルギーを蓄えられる:風力や太陽光などの再生可能エネルギーを使って水素を製造し、貯蔵しておくことで、必要な場所や時間に合わせてエネルギーを利用することができます。長期間の貯蔵も可能であるため、季節間のエネルギー転換にも活用できます。
水素は空気より軽く、拡散のスピードが速いため、密閉された空間で一定の濃度になるなどの限定的な条件でなければ着火することはありません。特徴を理解して正しく使えば、ガソリンや天然ガスと同様に安全に利用できるエネルギー源です9。
3.2 水素の製造・貯蔵・輸送技術
水素の製造方法は主に以下のようなものがあります:
- 水の電気分解:水に電気を流すことで、水素と酸素に分解する方法です。再生可能エネルギーによる電力を使用した場合、CO2を排出しない「グリーン水素」の製造が可能です。
- 化石燃料の改質:天然ガスなどの化石燃料から水素を取り出す方法で、現在最も一般的な水素製造方法です。ただし、この過程でCO2が発生します。CO2を回収・貯留する技術と組み合わせることで「ブルー水素」として環境負荷を低減することも検討されています。
- バイオマスのガス化:バイオマス資源をガス化して水素を製造する方法です。カーボンニュートラルな特性を活かせます。
水素の貯蔵方法としては、以下のような技術があります:
- 高圧ガス:水素を高圧(通常200~700気圧程度)で圧縮して専用のタンクに貯蔵する方法です。
- 液化水素:水素を極低温(約-253℃)に冷却して液体状態で貯蔵する方法です。液化することでガス状態の約800分の1の体積にすることができますが、液化や低温維持のためのエネルギーが必要です。
- 有機ハイドライド:水素を有機化合物(トルエンなど)と化学反応させて液体の形で貯蔵・輸送し、必要な場所で水素を取り出す方法です。常温・常圧で取り扱えるメリットがあります。
- アンモニア:水素と窒素を反応させてアンモニアとして貯蔵・輸送する方法です。アンモニアは液化しやすく、取り扱いやすいという特徴があります。
水素の輸送に関しては、上記の貯蔵方法を用いたタンクローリーや専用船舶による輸送のほか、パイプラインによる輸送も検討されています。輸送方法の選択は、距離や量、コストなどの要因によって決まります。
3.3 燃料電池の仕組みと種類
燃料電池は、水素と酸素の化学反応によって直接電気を発生させる装置です。水素が持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため、従来の発電方式に比べて高い発電効率を実現できます。
燃料電池の基本的な仕組みは以下のとおりです:
- 燃料極(アノード)に水素を、空気極(カソード)に酸素(空気)を供給します。
- 燃料極で水素が電子を放出し、水素イオン(陽子)となります。
- 放出された電子は外部回路を通って電流となり、空気極に移動します。
- 水素イオンは電解質を通って空気極に移動します。
- 空気極で水素イオン、電子、酸素が反応して水が生成されます。
燃料電池の主な種類としては以下があります:
- 固体高分子形燃料電池(PEFC):作動温度が低く(約80℃)、小型化が可能であるため、家庭用や自動車用に適しています3。家庭用燃料電池「エネファーム」や燃料電池自動車(FCV)に利用されています。
- 固体酸化物形燃料電池(SOFC):作動温度が高く(約700~1000℃)、発電効率が高いという特徴があります。主に業務用や産業用の定置型燃料電池として利用されています。
- リン酸形燃料電池(PAFC):中温(約200℃)で作動し、安定した発電が可能です。比較的大規模な定置型発電設備に利用されています。
- 溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC):高温(約650℃)で作動し、天然ガスなど多様な燃料に対応できます。主に大規模な発電施設に利用されています。
3.4 水素社会の実現に向けた取り組み
水素社会とは、水素をエネルギーとして広く利用する社会のことを指します。日本では、水素社会の実現に向けて様々な取り組みが進められています。
既に東京都内では、水素で動く燃料電池自動車・バスが走行していたり、都市ガス等から水素を取り出して電気とお湯をつくる燃料電池が家庭やビルで活用されていたりするなど、水素エネルギーは社会に広がりつつあります9。
2010年には、経済産業省の総合エネルギー調査会新エネルギー部会で、2010年における燃料電池自動車5万台、定置用燃料電池210万kWという導入目標が示されました3。また、2001年には経済産業省において「固体高分子形燃料電池/水素エネルギー利用プログラム」が策定され、燃料電池自動車とともに定置用PEFCシステムの実用化に向けた取組みが強化されました3。
水素社会の実現に向けては、水素の製造・貯蔵・輸送・利用に関する技術開発やコスト低減、安全性確保、規制・制度の整備、社会受容性の向上など、様々な課題に取り組む必要があります。また、水素エネルギーのメリットや安全性に関する情報提供や啓発活動も重要です。
水素は気候危機への対応とエネルギー安定供給の両面から「切り札」となる可能性を秘めたエネルギー源であり、日本を含む世界の主要国が国家戦略を策定するなど、様々な取り組みを加速させています9。
4. 新エネルギーの導入状況
4.1 世界の新エネルギー導入状況
4.1.1 主要国・地域別の導入状況
世界各国は温室効果ガス排出削減と持続可能なエネルギー供給の確保を目指し、新エネルギーの導入を積極的に進めています。特にヨーロッパ諸国は風力発電の導入に積極的です。これは、ヨーロッパで風力発電が促進されている背景には、地理的条件や政策的支援、技術開発の進展などがあります2。
中国は太陽光発電や風力発電の導入で世界をリードする一方、アメリカでは州ごとにさまざまな再生可能エネルギー政策を展開しています。特にカリフォルニア州やテキサス州では、太陽光発電や風力発電の導入が進んでいます。
インドや東南アジア諸国などの新興国でも、急速な経済成長に伴うエネルギー需要の増大と環境問題への対応から、新エネルギーの導入が加速しています。
4.1.2 国際的な目標と協調
2015年に採択されたパリ協定では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃未満に抑える(できれば1.5℃未満を目指す)という目標が設定されました。この目標達成のために、世界各国は温室効果ガス排出削減のための国別目標(NDC)を設定し、その中で新エネルギーの導入拡大を重要な施策として位置づけています。
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)や国際エネルギー機関(IEA)などの国際機関も、再生可能エネルギーの普及促進に向けた技術開発、政策立案、情報共有などの面で国際協力を推進しています。
また、先進国から途上国への技術移転や資金援助などを通じた国際協力も活発に行われており、地球規模での新エネルギー導入の加速を目指しています。
4.2 日本の新エネルギー導入状況
4.2.1 日本のエネルギー構成の現状
日本のエネルギー自給率は長年低い水準にあり、エネルギーの大部分を輸入に依存してきました。2012年のFIT制度施行時には6.7%だったエネルギー自給率は、再生可能エネルギーの普及などにより2022年には12.6%へと約2倍に向上しましたが、それでも国際的に見れば低い水準にとどまっています10。
東日本大震災以降、原子力発電所の停止に伴い化石燃料への依存度が増加しました。この状況を受けて、エネルギー安全保障の観点からも再生可能エネルギーを含む新エネルギーの導入拡大が重要な政策課題となっています。
4.2.2 分野別の導入状況
FIT制度の開始以降、特に太陽光発電の導入が大きく進みました。2012年のFIT制度開始以降、国内の再生可能エネルギー導入率は2011年度の0.4%から2020年度の7.9%へと大幅に増加しました10。また、太陽光発電のコストも2014年を境に大幅に減少し、2022年においては導入当初に比べて半分以下の12.0円/kWhまで下がっています10。
風力発電については、現在その多くが陸上に設置されていますが、今後は洋上風力発電の導入拡大が期待されています。特に「秋田洋上風力プロジェクト」のような大規模プロジェクトが進行中で、秋田港と能代港の港湾区域に33基の洋上風力発電が設置され、おおよそ140MWの電気を生産しています。これは一般家庭約13万世帯分の消費電力量に相当します2。
バイオマス発電は、未利用木材やパーム椰子殻(PKS)などを燃料とした発電所の建設が進んでいます。地熱発電については、古くから活用されてきましたが、国立・国定公園内の規制などもあり、近年の新規開発は限られています。
小水力発電は、河川や農業用水路などを活用した小規模な発電所の導入が徐々に進んでいます。未開発の小水力発電の出力は約660万kWあり、原発6.6基分の出力に相当するポテンシャルがあります4。
4.2.3 地域別の特徴
日本国内の新エネルギー導入状況は、地域の特性を反映して多様な展開を見せています。
太陽光発電については、日照条件の良い地域、特に南西部で多く導入されています。九州地域では、気候特性を活かした住宅用太陽光発電システムの運用実績に関する調査研究なども行われています18。
風力発電は、風況の良い北海道や東北地方、九州などの海岸部を中心に導入が進んでいます。特に秋田県では洋上風力発電の大規模プロジェクトが進行中です2。
地熱発電は、火山地帯が多い東北地方や九州地方に集中しています。バイオマス発電は、森林資源の豊富な地域や、食品加工業が盛んな地域などで導入が進んでいます。
全世帯太陽光発電付き集合住宅など、都市部での革新的な取り組みも見られます16。このような取り組みは、エネルギー消費量削減と居住者の環境意識向上にも貢献しています。
5. 新エネルギーのメリットとデメリット
5.1 新エネルギー導入のメリット
5.1.1 環境負荷低減効果
新エネルギーの最大のメリットは、発電時に二酸化炭素などの温室効果ガスをほとんど排出しないことです。例えば、水素エネルギーは使用するときに二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであり、地球温暖化を防ぐ手段として期待されています9。特に再生可能エネルギー由来の電力を利用して水を電気分解して製造する「グリーン水素」は、製造時もCO2を出さず、環境負荷が一層低いエネルギーです。
風力発電もクリーンエネルギーで環境に貢献するというメリットがあります2。また、小水力発電は過去100年以上の長い歴史を有しているために技術上の課題はほぼ解決されており、自然環境への負荷が少ないという特徴があります4。
バイオマス発電は、カーボンニュートラルの考え方に基づき、燃焼によって排出されるCO2は植物の成長過程で吸収したCO2であるため、大気中のCO2総量を増加させないという特性があります。
このような環境負荷の低減は、地球温暖化防止に直接的に貢献するだけでなく、大気汚染や水質汚濁、土壌汚染などの環境問題の軽減にもつながります。
5.1.2 エネルギー自給率向上
日本はエネルギー資源の多くを海外からの輸入に依存しており、エネルギー自給率は国際的に見て低い水準にあります。FIT制度施行時の2012年と2022年を比べると、日本のエネルギー自給率は6.7%から12.6%へと約2倍になりましたが、それでも国際的に見れば低い水準にとどまっています10。
新エネルギーは国内で生産可能なエネルギー源であり、その導入拡大はエネルギー自給率の向上に直結します。特に日本は自然エネルギー資源(太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなど)に恵まれており、これらを最大限に活用することでエネルギー安全保障の強化が期待できます。
風力発電のメリットの一つとして、「自国の自然資源を活用可能」という点が挙げられています2。これにより、外部環境に左右されにくい安定したエネルギー供給体制の構築に貢献できます。
また、特に地域分散型の新エネルギーシステムは、災害時のエネルギー供給途絶リスクの低減にも役立ちます。水素エネルギーも災害時に電気を供給する電源として活用できるとされています9。
5.1.3 経済・産業への波及効果
新エネルギーの導入拡大は、関連産業の発展や雇用創出など、経済・産業面での波及効果をもたらします。例えば、太陽光発電システムの製造・販売・設置・メンテナンス、風力発電設備の製造・建設・運用、バイオマス資源の収集・運搬・加工など、様々な産業分野での経済活動が生まれます。
水素エネルギーが普及することで新しい産業やこれに関わる仕事が生まれるなど、経済を元気にする効果があります9。日本が先行している燃料電池などの先端技術は、国際競争力の強化や技術輸出による経済的利益にもつながる可能性を秘めています。
また、小水力発電においては、水車づくりのノウハウがある地域では水力発電装置の制作に活かすことができるという利点があります4。これは伝統的な技術と現代的なニーズを結びつける好例です。
さらに、新エネルギーの導入は電力コストの長期的な安定化にも寄与します。一度設備を設置すれば燃料費がほとんどかからない太陽光発電や風力発電などは、将来的な燃料価格変動リスクを軽減する効果があります。
5.2 新エネルギー導入のデメリット
5.2.1 コスト面の課題
新エネルギー導入の最大の課題の一つがコスト面です。特に初期投資コストが高額になる傾向があり、これが普及の障壁となっています。
FIT制度の導入により太陽光発電のコストは大幅に減少しましたが、2022年において世界水準と比較するといまだ高い状態にあります10。火力発電や原子力発電などの従来型発電と比較して、発電コストが高い場合も少なくありません。
また、FIT制度に伴う買取費用の一部は、電気使用者全体に課される再エネ賦課金として国民が負担しています。この賦課金は年々増加傾向にあり、2022年度の賦課金単価は3.45円/kWhとなっています。1ヶ月の電気使用量が400kWhの需要家モデルを採用した際の月額負担額は1,380円、年間で16,560円となり、国民の家計に少なからず影響を与えています10。
小水力発電においては、比較的少ない出費から行うことができるとされていますが、一定の規模を超えると資格者の選任や保安規定による管理などの規制が依然として残っており、規制によるコストがかかるという課題があります4。
5.2.2 出力の不安定性
太陽光発電や風力発電などの変動性再生可能エネルギーは、気象条件によって発電量が大きく変動するという特性があります。
太陽光発電は日照条件に左右されるため、曇りや雨の日、夜間には発電量が減少または停止します。風力発電も風況によって発電量が変動し、風が弱い日や強すぎる日には効率的な発電ができません。
こうした出力の不安定性は、電力系統の安定運用に課題をもたらします。特に変動性再生可能エネルギーの導入比率が高まると、電力需給バランスの維持が難しくなり、系統運用者による調整力の確保が重要になります。
FIT制度では、電気使用者のニーズや競争によって価格が決まる電力市場からは分断された制度となっており、再エネ発電事業者にはいつ発電しても同じ金額で買い取ってもらえるため、電力需給のバランスをとるようなインセンティブが発生しません。これにより、事業者は電力需要に関係なく、それぞれの発電方法にとってベストなタイミングで発電を行ってきました10。この問題に対処するため、FIP制度などの新たな支援制度が導入されています。
5.2.3 立地制約と環境影響
新エネルギー施設の設置には、適した立地条件が必要であり、これが導入の制約となる場合があります。
風力発電では、年間を通して強風が吹く風況の良い場所、風速4〜25m/sの場所が適しているとされています。また、風車パーツの輸送のしやすさ、住民の住まいの近くではないことなども重要な考慮事項です2。小水力発電においても、適切な水量と落差が確保できる場所が限られるという立地条件による制約があります4。
地熱発電では、日本の場合、有望な地熱資源の多くは国立・国定公園内にあり、開発に制約があります。また、温泉事業者との調整も必要です。
また、新エネルギー施設の設置・運用に伴う環境影響も考慮する必要があります。風力発電では、鳥類への衝突リスク、低周波音、景観への影響などが指摘されています。太陽光発電の大規模設置では、森林伐採や土地改変による生態系への影響が懸念されることもあります。
バイオマス発電では、燃料の持続可能な調達や、燃焼過程での大気汚染物質の排出管理が課題となります。地熱発電では、硫化水素などの有害物質の排出や、地盤沈下、誘発地震などの環境影響への配慮が必要です。
こうした環境影響を最小限に抑えつつ、地域社会との共生を図りながら新エネルギーを導入していくことが重要です。
6. 新エネルギー導入を促進する政策・制度
6.1 固定価格買取制度(FIT)
6.1.1 FIT制度の概要と変遷
FIT(フィット)制度とは、再生可能エネルギー発電で発電した電気を、電力会社が一定期間一定の価格で買い取ることを国が約束する制度のことです。FITとは「Feed-in Tariff」を略した言葉で、日本語では「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」と訳されます10。
この制度は、2012年7月に施行された「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」(再エネ特措法)によって導入されました10。FIT制度の目的は、再生可能エネルギー発電を行う事業者を増やし、再エネの導入を全国的に広めることにあります。
導入の背景には、日本の燃料資源の乏しさゆえのエネルギー自給率の低さがあります。特に2011年の東日本大震災以降に化石燃料への依存度が増加し、エネルギー自給率が低いと国際情勢の影響を大きく受け電力の安定供給を危険に晒してしまう可能性があるため、低自給率の改善は近年解決必須の問題となっていました10。
6.1.2 FIT制度の効果と課題
FIT制度は再生可能エネルギーを国内に普及する施策として、大きな効果を発揮しました。2012年のFIT制度開始以降、国内の再生エネルギー導入率は2011年度の0.4%から2020年度の7.9%へと大幅に増加しました10。また、再エネの普及に合わせて太陽光発電のコストも2014年を境に大幅に減少し、2022年において半分以下の12.0円/kWhまで下がりました10。
エネルギー自給率の観点から見ても、FIT制度施行時の2012年と2022年を比べると6.7%から12.6%へと約2倍になっており、その効果を認めることができます10。
一方で、FIT制度にはいくつかの課題も指摘されています:
- 賦課金の増加:電気使用者全体に課される再エネ賦課金は年々増加傾向にあり、2022年度の賦課金単価は3.45円/kWhとなっています。一般家庭の負担も増加しており、1ヶ月の電気使用量が400kWhの需要家モデルでは月額1,380円、年間16,560円の負担となっています10。
- 市場メカニズムからの分断:FIT制度では再エネ発電事業者はいつ発電しても同じ金額で買い取ってもらえるため、電力需給のバランスをとるようなインセンティブが発生しません。事業者は電力需要に関係なく、それぞれの発電方法にとってベストなタイミングで発電を行ってきました10。これは電力系統の安定運用の観点からは課題となります。
- コスト効率の問題:固定価格での買取は、コスト削減や効率向上のインセンティブを弱める可能性があります。
これらの課題に対応するため、FIT制度は段階的に見直しが行われ、新たにFIP制度の導入など、より市場を意識した制度設計への移行が進められています。
6.2 FIP(Feed-in Premium)制度
6.2.1 FIP制度の概要
FIP(フィップ)制度は、Feed-in Premium(フィード・イン・プレミアム)の略称で、再生可能エネルギーの電力市場への統合を促進するために導入された新しい制度です。FIP制度では、再エネ発電事業者が市場で電気を直接販売し、その販売価格に一定のプレミアム(上乗せ額)を加えて収入を得る仕組みとなっています。
このプレミアムは、市場価格の変動に応じて調整されるため、市場価格が高い時は低いプレミアムが、市場価格が低い時は高いプレミアムが支払われる仕組みになっています。これにより、一定の収入の安定性を確保しつつも、市場メカニズムを活用した効率的な発電を促すことが目的です。
6.2.2 FIT制度との違い
FIP制度とFIT制度の主な違いは以下のとおりです:
- 電力の販売方法:FIT制度では、再エネ発電事業者は電力会社に固定価格で電力を売却するのに対し、FIP制度では事業者自らが市場で電力を販売します。
- 収入の仕組み:FIT制度では一定期間一定価格での買取が保証されるのに対し、FIP制度では市場価格にプレミアムを上乗せした収入となり、市場価格の変動に応じて総収入も変動します。
- 市場への統合:FIP制度では、再エネ発電事業者も市場価格シグナルに反応するインセンティブがあるため、電力需給の実態に合わせた発電行動が期待されます。これにより、電力系統全体の効率的な運用に貢献することが期待されています。
- 対象規模:FIP制度は一定規模以上の事業を対象としており、小規模な事業はFIT制度が継続して適用される場合があります。
FIP制度の導入により、再生可能エネルギーの市場統合が進み、より効率的かつ経済合理的な再エネの導入拡大が期待されています。一方で、市場リスクへの対応や収入の変動性への対処など、事業者にとっての新たな課題も生じています。
6.3 補助金・税制優遇措置
新エネルギーの導入を促進するため、様々な補助金や税制優遇措置が設けられています。これらは初期投資コストの軽減や事業採算性の向上に貢献しています。
新エネ法(新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法)では、導入事業者には中小企業投資助成による金融上の支援措置などが講じられることが規定されています13。これにより、新エネルギー設備の導入に対する経済的障壁が軽減されています。
主な支援策としては以下のようなものがあります:
- 設備導入補助金:太陽光発電システムや風力発電設備、バイオマスボイラーなどの新エネルギー設備の導入に対する補助金制度が、国や自治体によって実施されています。
- 研究開発補助金:新エネルギー技術の研究開発を促進するための補助金や委託事業が実施されています。
- 税制優遇措置:新エネルギー設備の導入に対する税制優遇(固定資産税の軽減、法人税の特別償却・税額控除など)が設けられています。
- 低利融資制度:新エネルギー事業に対する政策金融機関や地方自治体による低利融資制度があります。
これらの支援策は、新エネルギーの導入初期における高コスト構造を緩和し、普及を後押しする役割を果たしています。ただし、財政負担の観点から支援規模には制約があり、また支援のあり方についても費用対効果や公平性などの観点から継続的な見直しが行われています。
6.4 規制緩和と制度改革
新エネルギーの導入拡大を図るためには、既存の規制の見直しや制度改革も重要な政策手段となります。
例えば、小水力発電は様々な規制(特に河川法)によってその普及が困難でしたが、2010年3月には経済産業省が所管する規制の一部または全部が不要となりました。ただし、一定の規模を超えると資格者の選任や保安規定による管理などの規制が依然として残っています。また、農水省所管の農業用水に関する規制、国土交通省所管の慣行水利権に係る水利使用の許可手続きなど、他の省庁の規制も依然として残っています4。2015年1月には農地用用排水路に設置する場合の規制緩和が行われるなど、徐々に改善が進んでいます4。
他の新エネルギー分野でも同様に、従来の法制度や規制が必ずしも新エネルギーの特性に適合していない場合があり、それらの見直しが進められています。主な取り組みとしては以下があります:
- 電力系統の利用ルール改革:再生可能エネルギーの系統接続を円滑化するための「日本版コネクト&マネージ」の導入や、系統増強費用の負担方法の見直しなどが行われています。
- 環境アセスメント手続きの合理化:風力発電所や地熱発電所の建設に係る環境影響評価(環境アセスメント)の手続き期間短縮や効率化が図られています。
- 土地利用規制の見直し:太陽光発電など新エネルギー施設の設置を可能とするための土地利用や建築規制の見直しが行われています。
- 保安規制の合理化:新エネルギー設備の特性に応じた保安規制の見直しや、手続きの簡素化が進められています。
これらの規制緩和や制度改革は、新エネルギー導入に関する不必要な障壁を取り除き、導入コストの低減や手続きの迅速化につながることが期待されています。一方で、安全性の確保や環境保全、地域との共生などの観点からは適切な規制も必要であり、バランスの取れた制度設計が求められています。
7. 新エネルギー技術の最新動向
7.1 発電効率向上への取り組み
新エネルギーの競争力を高めるためには、発電効率の向上が重要な課題となっています。各分野で様々な技術革新が進められています。
太陽光発電では、従来の結晶シリコン太陽電池に加え、薄膜太陽電池、多接合太陽電池、ペロブスカイト太陽電池などの新技術の開発が進んでいます。また、両面受光型太陽電池モジュールなど、設置環境での発電量を最大化する技術も普及しつつあります。
大規模太陽光発電システム(メガソーラー)においては、モジュールへの散水効果の検証など、発電効率を高めるための様々な研究が行われています1114。また、太陽光パネルの熱収支特性の評価に関する研究も行われており、温度上昇に伴う発電効率低下を抑制するための技術開発が進められています1。
風力発電では、ブレード(羽根)の大型化や空力設計の最適化、発電機やパワーエレクトロニクス技術の向上などにより、発電効率と設備利用率の向上が図られています。特に洋上風力発電では、大型化による発電効率の向上が進んでいます。
バイオマス発電では、ガス化技術の高度化や複合サイクル発電との組み合わせなどにより、発電効率の向上が図られています。また、熱電併給(コージェネレーション)システムの導入により、総合エネルギー効率の向上も進められています。
燃料電池においては、固体高分子形燃料電池(PEFC)の開発が進んでおり、作動温度が低く、小型化が可能であることから、家庭用や小規模業務用の分野での商品化が期待されています3。
7.2 エネルギー貯蔵技術の発展
変動性再生可能エネルギー(太陽光発電や風力発電など)の導入拡大に伴い、エネルギー貯蔵技術の重要性が高まっています。エネルギー貯蔵技術は、発電と需要のタイミングのずれを吸収し、電力系統の安定運用に貢献します。
蓄電池技術では、リチウムイオン電池の高性能化・低コスト化が進んでいるほか、全固体電池、レドックスフロー電池、ナトリウム硫黄電池など、様々な方式の開発が進められています。家庭用から系統用まで、様々な規模・用途に応じた蓄電システムの導入が進んでいます。
水素エネルギーは、再生可能エネルギーを「蓄める」技術として注目されています。風力や太陽光などの再生可能エネルギーを使って水素をつくり、蓄めてから必要な場所へ運んで使えます。また、水素は長期間蓄めておけるため、季節間のエネルギー移行(例えば夏に作った水素を冬に電気として使う)にも活用できます9。
揚水発電は古くから活用されている大規模なエネルギー貯蔵技術です。余剰電力を使って水を上部貯水池にポンプアップし、必要時に放水して発電する仕組みです。日本では地形的な制約から新規開発の余地は限られていますが、既存設備の有効活用や可変速化などの機能向上が図られています。
熱貯蔵技術も、特に熱需要と組み合わせた再生可能エネルギーの有効利用において重要です。蓄熱槽、潜熱蓄熱材、地中熱蓄熱などの技術が活用されています。
これらのエネルギー貯蔵技術の発展により、変動性再生可能エネルギーの導入拡大と電力系統の安定運用の両立が可能になると期待されています。
7.3 スマートグリッドとの連携
スマートグリッド(次世代送電網)は、情報通信技術(ICT)を活用して電力の流れを効率的に制御する電力網のことです。新エネルギーの導入拡大にあたっては、このスマートグリッドとの連携が重要となっています。
スマートグリッドでは、電力の需給状況をリアルタイムで把握し、需要と供給を最適にマッチングさせることで、系統の安定運用を実現します。特に出力が変動しやすい太陽光発電や風力発電の大量導入を可能にするための基盤技術として期待されています。
需要側の取り組みとしては、デマンドレスポンス(DR)と呼ばれる、電力需要をコントロールする技術が導入されています。電力需給がひっ迫する時間帯に、需要家が自らの電力使用を抑制したり、シフトしたりすることで、系統全体の安定化に貢献します。
分散型エネルギーリソース(DER)の統合管理も進んでいます。各家庭や事業所に設置された太陽光発電、蓄電池、EV(電気自動車)などを統合的に管理し、全体として最適運用を図る取り組みです。仮想発電所(VPP:Virtual Power Plant)やエネルギーアグリゲーター(複数の分散型エネルギーリソースを束ねて制御する事業者)といった新たなビジネスモデルも登場しています。
送配電系統の強化・高度化も進められています。従来の電力系統は大規模集中型電源から需要地へと一方向に電力を流す前提で設計されていましたが、分散型の再生可能エネルギーが大量導入されると、電力潮流が双方向化するなど複雑になります。このような状況に対応するため、送配電設備のデジタル化や監視制御システムの高度化が図られています。
これらのスマートグリッド技術の発展により、従来は系統連系が難しかった地域での新エネルギー導入や、変動性再生可能エネルギーの大量導入が可能になると期待されています。
7.4 新エネルギー関連の研究開発状況
新エネルギー分野では、技術の高度化や経済性の向上を目指した様々な研究開発が行われています。日本においては、官民協力のもとで多岐にわたる研究開発プロジェクトが進行中です。
水素・燃料電池分野では、経済産業省において「固体高分子形燃料電池/水素エネルギー利用プログラム」が策定され、燃料電池自動車とともに定置用PEFCシステムの実用化に向けた取組みが強化されています3。日本ガス協会(JGA)では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託により「定置用固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備」(定置用燃料電池ミレニアム事業)を実施しています3。
太陽光発電分野では、変換効率の向上、製造コストの低減、設置場所の拡大(建材一体型や水上設置型など)に関する研究開発が進められています。全世帯太陽光発電付き集合住宅におけるエネルギー消費量と居住者意識に関する調査研究なども行われており16、実際の使用環境でのデータ収集と分析が進んでいます。
風力発電分野では、特に洋上風力発電の技術開発が活発です。浮体式洋上風力発電の実証や、台風や地震などの自然条件に適応した風車の開発、風況予測技術の高度化などが進められています。
バイオマス分野では、未利用バイオマス資源の活用技術や、ガス化・液化技術の高度化、エネルギー変換効率の向上などに関する研究開発が行われています。
地熱発電分野では、地下資源探査技術の高度化や、環境負荷の少ない開発手法、バイナリー発電の効率向上などが研究されています。
新エネルギーの系統連系に関しては、出力変動の予測技術、系統安定化技術、エネルギーマネジメントシステムなどの研究開発も重要な位置を占めています。
これらの研究開発成果が実用化され普及することで、新エネルギーの経済性向上や導入拡大、ひいては脱炭素社会の実現に貢献することが期待されています。
8. 新エネルギーの社会的・経済的影響
8.1 雇用創出と産業構造の変化
新エネルギーの導入拡大は、関連産業の成長と雇用創出をもたらします。太陽光発電システムの製造・設置・メンテナンス、風力発電設備の製造・建設・運用、バイオマス資源の収集・運搬、エネルギーマネジメントシステムの開発・運用など、様々な分野での新たな雇用が生まれています。
特に水素エネルギーが普及することで新しい産業やこれに関わる仕事が生まれるなど、経済を元気にする効果が期待されています9。既に東京都内では、水素で動く燃料電池自動車・バスが走行していたり、都市ガス等から水素を取り出して電気とお湯をつくる燃料電池が家庭やビルで活用されていたりするなど、水素エネルギーは社会に広がりつつあります9。
小水力発電の分野では、水車づくりのノウハウがある地域では水力発電装置の制作に活かすことができるという特徴があります4。これは伝統的な技術と現代的なニーズを結びつけ、地域の技術や産業の継承・発展にも貢献します。
一方で、従来型のエネルギー産業から新エネルギー産業への移行に伴い、産業構造の変化も生じています。化石燃料関連産業から再生可能エネルギー関連産業へと雇用が移行する「公正な移行(Just Transition)」の実現が、社会的な課題となっています。
8.2 地域経済への波及効果
新エネルギーの導入は、特に資源の乏しい地方においてエネルギーの地産地消を可能にし、地域経済の活性化につながります。
例えば、バイオマス発電では地域の林業や農業から発生する未利用資源を活用することで、地域内での資金循環や雇用創出が期待できます。小水力発電は地域の水資源を活用し、地域主体の事業として展開できるポテンシャルを持っています。
風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー事業では、地域住民や自治体が参画するコミュニティパワー(市民電力)の取り組みも広がっています。これにより、エネルギー事業の利益が地域に還元され、地域経済の持続的な発展に貢献します。
また、エネルギーの地産地消は、災害時のエネルギー供給途絶リスクの低減にもつながります。水素エネルギーも災害時に電気を供給する電源として活用できるとされており9、レジリエンス(強靱性)の向上にも寄与します。
全世帯太陽光発電付き集合住宅など、都市部での革新的な取り組みも、エネルギー消費量削減と居住者の環境意識向上に貢献しています16。これは都市型の地域経済モデルへの変革をもたらす可能性を秘めています。
8.3 エネルギー民主化と分散型社会
新エネルギーの特徴の一つは、従来の大規模集中型のエネルギーシステムとは異なり、小規模分散型のシステムを構築できることです。これにより、エネルギー供給の「民主化」が進み、多様な主体がエネルギー生産に参画できるようになります。
太陽光発電システムは個人の住宅やビルの屋上に設置できるため、一般市民や中小企業もエネルギー生産者になることができます。小水力発電も比較的小規模な投資から始められるため、地域コミュニティによるエネルギー事業に適しています4。
このようなエネルギーの分散化は、電力系統の強靱化にも貢献します。災害時に大規模集中型の電源が停止した場合でも、地域分散型の電源があれば最低限の電力供給を維持できる可能性があります。
さらに、エネルギーの生産と消費の距離が近くなることで、送電ロスの低減やエネルギー利用の効率化につながります。特に熱と電気を併給するコージェネレーションシステムやバイオマス熱利用などは、地域内でのエネルギーの効率的な利用を可能にします。
このような変化は、エネルギーシステムだけでなく、社会経済システム全体の分散化・多様化をもたらす可能性があります。集中型から分散型へ、一方向から双方向へ、依存から自立へという価値の転換が、エネルギー分野から始まり社会全体に広がっていく潮流が生まれつつあります。
8.4 環境教育と意識向上
新エネルギーの導入は、環境教育や環境意識の向上にも大きな役割を果たしています。特に学校や公共施設に設置された太陽光発電システムなどは、環境教育の教材として活用されています。
全世帯太陽光発電付き集合住宅におけるエネルギー消費量と居住者意識に関する調査研究16からは、自らが居住する建物で再生可能エネルギーを活用することが、居住者の環境意識向上につながる可能性が示唆されています。
また、地域主体の再生可能エネルギー事業は、地域住民のエネルギー問題や環境問題への関心を高め、持続可能な社会づくりへの参画意識を育むことにつながります。これは単なるエネルギー政策を超えて、地域社会の持続可能性や住民自治の強化にも寄与する取り組みといえます。
さらに、水素エネルギーなどの新しいエネルギー形態に関する普及啓発活動も、市民のエネルギーリテラシー(エネルギーに関する知識や理解力)の向上に貢献しています。東京都では「Tokyo水素ナビ」などを通じて、水素エネルギーの特徴やメリット、安全性などに関する情報提供を行っています9。
このような環境教育と意識向上の取り組みは、新エネルギーの社会受容性を高めるだけでなく、より広く持続可能な社会への移行を促進する原動力となることが期待されています。
9. 新エネルギー導入の課題と展望
9.1 技術的課題
9.1.1 発電効率と経済性
新エネルギーの普及に向けた最大の技術的課題の一つは、発電効率の向上とそれに伴う経済性の改善です。各新エネルギー技術の変換効率にはまだ改善の余地があります。
再生可能エネルギーの中では、風力発電(約30~40%)や中小水力発電(約60~70%)は比較的高い変換効率を持ちますが、太陽光発電(約20%)や地熱発電(約8%)、バイオマス発電(約20%)などは相対的に低い効率にとどまっています2。
太陽光発電のコストは2012年のFIT制度開始以降大幅に低減し、2022年においては半分以下の12.0円/kWhまで下がっていますが、世界水準と比較するといまだ高い状態にあります10。コスト低減と効率向上の両面からの技術革新が求められています。
小水力発電では、トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」のHVユニットを再利用した低価格かつ高効率なシステムの開発など、コスト低減に向けた革新的な取り組みも見られます4。しかし、規制によるコストや初期投資の回収期間の長さなどが依然として課題となっています。
燃料電池分野では、固体高分子形燃料電池(PEFC)の開発によって小型化が可能になり、家庭用や小規模業務用の分野での商品化の期待が高まっています3。しかし、さらなる経済性向上のための研究開発が必要です。
9.1.2 系統連系と電力安定供給
太陽光発電や風力発電などの変動性再生可能エネルギーは、気象条件によって出力が変動するため、電力系統への大量導入に際しては系統の安定運用が課題となります。
FIT制度の下では、再エネ発電事業者はいつ発電しても同じ金額で買い取ってもらえるため、電力需給のバランスをとるようなインセンティブが発生しません。事業者は電力需要に関係なく、それぞれの発電方法にとってベストなタイミングで発電を行ってきました10。このことは電力系統全体の安定運用において課題となります。
この課題に対応するため、FIP制度の導入や蓄電池・水素などのエネルギー貯蔵技術の活用、需要側の調整(デマンドレスポンス)、広域的な系統運用などの取り組みが進められています。特に水素エネルギーは再生可能エネルギーを蓄える技術として注目されており、長期間蓄めておけるため季節間のエネルギー移行にも活用できるという特徴があります9。
また、送電網の強化や系統運用ルールの見直し(日本版コネクト&マネージの導入など)も進められていますが、より多くの再生可能エネルギーを受け入れるための系統整備は依然として大きな課題です。
9.1.3 既存インフラとの整合性
新エネルギーを既存のエネルギーインフラと整合的に導入していくことも大きな技術的課題です。
例えば、水素エネルギーを本格的に普及させるためには、製造施設、貯蔵施設、輸送インフラ、利用機器など、水素のサプライチェーン全体にわたるインフラ整備が必要となります。既に東京都内では水素で動く燃料電池自動車・バスが走行していますが9、水素ステーションなどのインフラ整備はまだ限定的です。
バイオマス発電では、燃料となるバイオマス資源の収集・運搬・加工のためのインフラと、既存の電力系統との接続が課題となります。地域によっては道路や輸送手段の制約から、バイオマス資源の効率的な収集が難しい場合もあります。
また、電力系統自体も従来は大規模集中型電源からの一方向の電力供給を前提に設計されているため、分散型の再生可能エネルギー電源の大量導入に対応するための送配電網の強化・高度化も必要です。
これらの課題に対応するためには、新技術の開発と既存インフラの改修・更新を計画的に進めるとともに、新旧のシステムが共存・移行する期間の運用ルールを整備していくことが重要です。
9.2 社会的課題
9.2.1 地域合意形成
新エネルギー施設の設置にあたっては、地域住民や関係者との合意形成が重要な課題となります。特に風力発電や大規模太陽光発電、地熱発電などは、景観への影響や環境への懸念から地域の反対運動が起きることもあります。
風力発電では、風車パーツの輸送のしやすさ、住民の住まいの近くではないことなども設置場所を選定する際の重要な要素となっています2。しかし、風況の良い場所と社会的な受容性が高い場所が必ずしも一致するとは限らず、適地選定の難しさがあります。
地熱発電では、有望な地熱資源の多くが国立・国定公園内にあり、また温泉事業者との関係調整も必要になります。環境保全と資源開発のバランス、既存産業と新エネルギー産業の共存のあり方が問われます。
こうした課題に対応するため、計画段階からの情報公開と住民参加、地域との利益共有(地域貢献策や地域出資の仕組みなど)、客観的な環境影響評価などが重要となります。また、地域特性に応じた適切な規模と技術の選択も、社会的受容性を高めるためには欠かせません。
9.2.2 景観・環境との調和
新エネルギー施設と景観・環境との調和も重要な社会的課題です。特に風力発電や大規模太陽光発電は、視覚的なインパクトが大きく、景観への影響が懸念されることがあります。
風力発電では、鳥類への衝突リスク、低周波音の発生なども環境影響として指摘されています。太陽光発電の大規模設置では、森林伐採や土地改変による生態系への影響が懸念されることもあります。
地熱発電では、硫化水素などの有害物質の排出や、地盤沈下、誘発地震などの環境影響への配慮が必要です。バイオマス発電では、燃料の持続可能な調達や、燃焼過程での大気汚染物質の排出管理が課題となります。
これらの課題に対応するためには、環境影響評価(環境アセスメント)の適切な実施と結果の公開、影響緩和策の導入、モニタリングとフォローアップなどが重要となります。また、建築物との一体化や地形を活かした設置など、景観との調和を図るデザイン面での工夫も求められます。
9.2.3 費用負担の公平性
新エネルギー導入に伴う費用負担のあり方も社会的課題の一つです。特にFIT制度では、再生可能エネルギーの買取費用の一部を、電気の使用者から賦課金という形で徴収する仕組みになっています。
この賦課金は年々増加傾向にあり、2022年度の賦課金単価は3.45円/kWhとなっています。一般家庭のモデルケース(月400kWh使用)では月額1,380円、年間16,560円の負担となっており、国民の家計に少なからず影響を与えています10。
賦課金が課されるということは、再エネが普及するほどその増加分の売電料の一部を国民が負担することを意味しており、負担のあり方や公平性が問われます。特に電力多消費産業や低所得世帯への影響など、社会的公平性の観点からの検討が必要です。
また、FIT制度からFIP制度への移行により、市場メカニズムを活用したより効率的な支援のあり方が模索されていますが、移行期の制度設計や事業環境の整備も課題となっています。
さらに、送電網の整備や調整力の確保など、再生可能エネルギーの大量導入に伴う系統対策費用の負担のあり方についても、発電事業者、電力会社(送配電事業者)、電力消費者の間での公平かつ効率的な分担が求められています。
9.3 将来展望
9.3.1 2030年に向けた見通し
2030年に向けて、日本における新エネルギーの導入は着実に拡大していくことが見込まれています。特にFIT制度およびFIP制度の下で導入が進む太陽光発電や風力発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギーは、エネルギーミックスにおける重要な位置を占めるようになると予想されます。
2030年度のエネルギーミックスにおいては、再生可能エネルギーの比率を高めつつ、省エネルギーの推進や火力発電の高効率化、原子力発電の活用などを組み合わせた、バランスの取れたエネルギー供給構造の実現が目指されています。
特に注目されるのは洋上風力発電の導入拡大です。洋上風力発電は、陸上に比べて安定した強い風が得られること、広大な設置スペースを確保できること、騒音や景観への影響が少ないことなどから、今後の成長が期待されています2。例えば秋田洋上風力プロジェクトでは、1基あたりの最大出力が4.2MWの風車33基で約140MWの電気を生産しており、一般家庭約13万世帯分の消費電力量に相当する発電量を実現しています2。
また、水素社会の実現に向けた取り組みも加速すると見込まれます。2010年には経済産業省から2010年における燃料電池自動車5万台、定置用燃料電池210万kWという導入目標が示されました3。このような政策目標に基づき、水素の製造・貯蔵・輸送・利用に関するサプライチェーンの整備が進むことが期待されます。
9.3.2 2050年カーボンニュートラルへの貢献
日本を含む多くの国が2050年までのカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出と吸収を均衡させること)を宣言しており、その実現に向けて新エネルギーが中心的な役割を果たすことが期待されています。
2050年のエネルギー供給においては、再生可能エネルギーを主力電源とし、水素やアンモニアなどのカーボンフリー燃料の活用、CO2回収・利用・貯留(CCUS)技術の導入などを組み合わせた、脱炭素型のエネルギーシステムの構築が目指されています。
太陽光発電や風力発電などの変動性再生可能エネルギーの大規模導入を支えるため、水素による長期間・大容量のエネルギー貯蔵も重要な役割を果たします。水素は長期間蓄めておけるため、夏に作った水素を冬に再び電気にして使うことができるという特徴があります9。
また、未開発の小水力発電の出力は約660万kw分あり、原発6.6基分の出力が見込めるというポテンシャルもあります4。これらの未利用エネルギーの活用も、カーボンニュートラル達成のために重要です。
2050年に向けては、技術革新による発電コストの低減や変換効率の向上、系統整備と調整力の確保、セクターカップリング(電力・熱・交通などの分野間の連携)の推進などが重要な課題となります。
9.3.3 将来のエネルギーミックス
将来のエネルギーミックス(エネルギー源の構成)は、脱炭素化と安定供給、経済性の確保という複数の目標のバランスを取りながら、最適化されていくことになります。
短中期的には、再生可能エネルギーの主力電源化を進めつつも、調整電源としての火力発電(将来的には水素・アンモニア発電などに移行)との組み合わせが重要になります。また、ベースロード電源としての原子力発電の位置づけも、安全性の確保を前提としつつ検討されています。
長期的には、より多様な再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス、海洋エネルギーなど)の組み合わせと、水素・蓄電池などの調整力の活用により、安定かつクリーンなエネルギー供給システムの構築が目指されています。
また、エネルギーの地産地消や分散型システムの普及により、地域特性に応じた最適なエネルギーミックスが各地で実現していく可能性もあります。例えば風況の良い地域では風力発電を中心に、森林資源の豊富な地域ではバイオマス利用を中心に、火山地帯では地熱発電を中心にするなど、地域の特性を活かしたエネルギー供給体制の構築が進むことが期待されます。
このような多様性と柔軟性を持ったエネルギーシステムの実現が、持続可能なエネルギー供給と脱炭素社会の両立への道筋となるでしょう。
10. まとめと提言
10.1 新エネルギーの重要性の再確認
新エネルギーは、環境負荷の低減、エネルギー安全保障の強化、経済・産業の発展など、様々な観点から重要な役割を果たすエネルギー源です。
特に日本のようにエネルギー自給率が低い国(2022年時点で12.6%10)においては、国内で生産可能な新エネルギーの導入拡大は、エネルギー安全保障の観点から極めて重要です。また、世界的な脱炭素化の潮流の中で、温室効果ガスをほとんど排出しない新エネルギーへの転換は、気候変動対策として不可欠です。
風力発電は他の再生可能エネルギーと比較して発電効率が高く(約30~40%)、夜間でも発電が可能であるという特徴があります2。太陽光発電は設置の自由度が高く、小規模から大規模まで様々な規模で導入可能です。地熱発電は安定した出力が特徴であり、バイオマス発電は未利用資源の有効活用にもつながります。小水力発電は環境負荷が少なく、地域の水資源を活用できるという利点があります4。
水素エネルギーは、使用時にCO2を排出せず、様々な資源から製造可能であり、再生可能エネルギーを蓄えることができるという多くのメリットを持っています9。
これらの新エネルギーを適材適所で組み合わせながら導入を進めることで、持続可能なエネルギーシステムの構築が可能になります。
10.2 バランスの取れた導入への提言
新エネルギーの導入を効果的に進めるためには、以下のようなバランスの取れたアプローチが重要です。
1. 多様なエネルギー源の組み合わせ
太陽光、風力、バイオマス、小水力、地熱などの多様な新エネルギー源を、地域特性に応じて最適に組み合わせることが重要です。変動性の高い太陽光・風力と、安定的な地熱・バイオマス・小水力を組み合わせることで、全体としての安定性を高めることができます。
2. 技術開発と普及のバランス
既に実用化された技術の普及拡大と並行して、次世代技術の研究開発を進めることが重要です。例えば、太陽光発電の高効率化や風力発電の大型化、水素製造・貯蔵技術の高度化などの研究開発を継続的に支援することで、将来的な競争力強化につながります。
3. 集中型と分散型のバランス
大規模集中型の再生可能エネルギー発電所(メガソーラーや大規模風力発電所など)と、住宅用太陽光発電や小水力発電などの小規模分散型のシステムをバランスよく導入することで、系統負荷の分散や災害時のレジリエンス向上が期待できます。
4. 短期的目標と長期的ビジョンのバランス
FIT制度などによる短期的な導入促進策と、2050年カーボンニュートラルに向けた長期的な技術開発・インフラ整備をバランスよく進めることが重要です。短期的な成果と長期的な持続可能性の両立を目指すべきです。
5. 経済性と環境性のバランス
新エネルギーの導入にあたっては、経済性(コスト)と環境性(CO2削減効果など)のバランスを考慮することが重要です。過度にコストを重視すると環境対策が不十分になり、逆に環境性のみを追求すると経済的負担が大きくなります。適切なバランスを見極めながら、段階的に導入を進めていくことが求められます。
10.3 社会全体での取り組みの必要性
新エネルギーの導入拡大と持続可能なエネルギーシステムの構築は、政府や企業だけでなく、社会全体での取り組みが必要です。
1. 政府・自治体の役割
政府は新エネルギー導入のための制度設計や支援策の実施、規制改革などを通じて、導入環境の整備を進める役割があります。特にFIT制度やFIP制度などの支援制度は、再生可能エネルギーの導入拡大に大きく貢献しています10。また、地方自治体は地域特性に応じた新エネルギーの導入計画の策定や、住民との合意形成の促進などの役割を担います。
2. 企業の取り組み
エネルギー関連企業はもちろん、様々な産業分野の企業が新エネルギーの開発・導入に参画することが重要です。例えば、トヨタ自動車のハイブリッド車のHVユニットを小水力発電に活用する取り組み4のように、異業種からの技術移転や協業による革新的なソリューションの創出が期待されます。
3. 市民・消費者の意識と行動
一般市民や消費者も、エネルギー問題への関心を高め、新エネルギーへの理解を深めることが重要です。住宅用太陽光発電の導入や、再生可能エネルギー由来の電力プランの選択、エネルギー消費の効率化など、個人レベルでの行動変容も、社会全体のエネルギー転換に大きく貢献します。
全世帯太陽光発電付き集合住宅におけるエネルギー消費量と居住者意識に関する調査研究16のように、実際の生活環境での新エネルギー利用と意識変化の関係を探る研究も、社会全体での取り組みを促進するための重要な基盤となります。
4. 教育と情報発信
次世代を担う子どもたちへのエネルギー環境教育や、一般市民向けの分かりやすい情報発信も重要です。東京都の「Tokyo水素ナビ」9のように、新しいエネルギー形態に関する正確で分かりやすい情報提供は、社会受容性の向上に貢献します。
新エネルギーの導入促進と持続可能なエネルギーシステムの構築は、国のエネルギー安全保障、地球温暖化対策、産業競争力強化、地域活性化など、様々な観点から極めて重要な課題です。技術的・経済的・社会的な課題を一つ一つ克服しながら、バランスの取れたアプローチで着実に前進していくことが求められています。
Citations:
- https://www.semanticscholar.org/paper/32aef0b9ee0bb647fa5f5c9540112eb91f9ec3d0
- https://green-transformation.jp/media/sustainability/084/
- https://www.semanticscholar.org/paper/e0210960a071dbd52a6924a2a4a977632eef0733
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B0%B4%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB
- https://geothermal.jogmec.go.jp/information/geothermal/mechanism/mechanism2.html
- https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/3883/ja
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%A2%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB
- https://www.sustainability-hub.jp/column/bio-power-generation/
- https://www.tokyo-h2-navi.metro.tokyo.lg.jp/suisoenergy
- https://www.bluedotgreen.co.jp/column/esg/fit/
- https://www.semanticscholar.org/paper/371064f39ea52f51d38bb2963aeece1d84deef10
- https://www.kepco.co.jp/siteinfo/faq/new_energy/9098945_10603.html
- https://kotobank.jp/word/%E6%96%B0%E3%81%88%E3%81%AD%E3%82%8B%E3%81%8E%E3%83%BC%E6%B3%95-1546783
- https://www.semanticscholar.org/paper/e98b610401a96c6ad4f54e1a1890e6b45dac126f
- https://www.ene100.jp/force-download.php?file=https%3A%2F%2Fwww.ene100.jp%2Fwww%2Fwp-content%2Fuploads%2Fzumen%2F03.pdf
- https://www.semanticscholar.org/paper/1bd558cb4a1cbc96d8d3fcdaec41153ed9bf8be6
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC
- https://www.semanticscholar.org/paper/41979c8f4b1ea17d4120a2de008e503970072c02
- https://www.city.ojiya.niigata.jp/soshiki/kankyo/new-energy.html
- https://www.jpea.gr.jp/knowledge/about/
- https://www.semanticscholar.org/paper/6173a7aacd42f2d226e83c799706e1f27d8d888e
- https://www.semanticscholar.org/paper/70eaff536123f0a0ab154af8f90f6bee789fd171
- https://www.semanticscholar.org/paper/c99240db8b4ecb546050940fe5f0d6116daa541c
- https://www.semanticscholar.org/paper/25962480f8f40372a4b86975692589f8cbcebd87
- http://arxiv.org/pdf/2012.08314.pdf
- https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/2203/2203.14111.pdf
- https://arxiv.org/vc/arxiv/papers/1112/1112.3266v1.pdf
- https://arxiv.org/pdf/0905.2440.pdf
- https://denki.marubeni.co.jp/column/biomass/
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B0%B4%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB
- https://geothermal.jogmec.go.jp/information/geothermal/mechanism/mechanism2.html
- https://green-innovation.nedo.go.jp/article/hydrogen/
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E6%B4%8B%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%85%89%E7%99%BA%E9%9B%BB
- https://www.tepco.co.jp/rp/business/wind_power/mechanism/
- https://www.mitsui.com/solution/contents/solutions/lowc-fuel/D8KSZ
- https://j-water.org/about/
- https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20230719.html
- https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/suiso.html
- https://www.nihonkairengou.jp/about
- https://www.jpea.gr.jp/house/about/
- https://www.mitsui.com/solution/contents/solutions/re/60
- https://www.semanticscholar.org/paper/a6449ee41aaf250e07b83b4fdb6257271a874b55
- https://www.semanticscholar.org/paper/1a08e560b46f1b166f6d88307e26efdd0a779545
- https://www.semanticscholar.org/paper/41598eaf5387eda3870f615c28005e53259eb082
- https://www.semanticscholar.org/paper/fed8aca577be32100b947b05b5b7b779364d272c
- https://u-power.jp/sdgs/future/000382.html
- https://taiyou-denryoku-hikaku.com/column/new-energy-safety/
- https://shizenenergy.net/decarbonization_support/column_seminar/renewable_energy/
- https://www.nef.or.jp/consumer
- https://www.kepco.co.jp/siteinfo/faq/new_energy/9098953_10603.html
- https://shouene-kaden2.net/learn/energy_natural/
- https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/anzenhosho2023.html
- https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/saiene/saienerekishi.html
- https://www.pref.tokushima.lg.jp/sp/FAQ/docs/00033336/
- https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/outline/index.html
- https://tanso-man.com/media/renewable-energy-global-warming/
- https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/enecaree/assets/pdf/enecaree_seminar1.pdf
- https://www.kepco.co.jp/energy_supply/energy/nowenergy/world_energy.html
- https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/gxs/65581.html
- https://www.semanticscholar.org/paper/43261547378d81d2c8781adbb4682fc8f861c73d
- https://www.semanticscholar.org/paper/46c167b40c34cbae2e49218fe6b13a2817fdea7f
- https://www.semanticscholar.org/paper/c979518348c0b7b183160985ff60840c9fefe1cc
- https://www.semanticscholar.org/paper/8ffb75e4a74898e2d7c80de800fe9bdac590c700
- https://www.tokyo-h2-navi.metro.tokyo.lg.jp/suisoenergy
- https://enechange.jp/articles/wave-energy-power-station
- https://energy.eneos-re.com/re-energy-book/small-hydropower/
- https://www.chuden.co.jp/energy/renew/ren_shikumi/geothermal_shikumi/
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%A2%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB
- https://www.pref.saitama.lg.jp/a0503/energy/reene/reene-water.html
- https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20230419.html
- https://www.mlit.go.jp/common/001235504.pdf
- https://www.env.go.jp/earth/ondanka/shg/page02.html
- https://www.kyuden.co.jp/effort_renewable-energy_geothermal.html
- https://www.mitsui.com/solution/contents/solutions/hydro/37
- https://shizen-hatch.net/2020/03/03/wave_activated-power_generation/
- https://www.sustainability-hub.jp/column/renewable-energy-list/
- https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000037/
- https://www.kepco.co.jp/siteinfo/faq/new_energy/9098946_10603.html
- https://www.jema-net.or.jp/Japanese/res/outline/kanren.html
- https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/saiene/
- https://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%CD%A5%EB%A5%AE%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%C2%A5%EF%BF%BD%CA%A4%CB%B4%D8%A4%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%EF%BF%BD%CB%A1
- https://stockmark.co.jp/coevo/next-generation-energy
- https://www.kajima.co.jp/news/digest/aug_2001/tokushu/tokushu.htm
- https://laws.e-gov.go.jp/law/423AC0000000108
- https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/index.html
- https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/sogyosuishin/1274134887366.html
- https://www.semanticscholar.org/paper/4c78a19b9089e7715a306884772919e89f293fd8
- https://www.semanticscholar.org/paper/2dc91783a8c355ac2667752fb4ce3586f78b9579
- https://www.semanticscholar.org/paper/8ba85c5546951a35a20bc1e4d7fee53b43f040fb
- https://www.semanticscholar.org/paper/99cdea8f471c6d81939692c21e5119988edd8aa0
- https://www.jepoc.or.jp/tecinfo/library.php?_w=Library&_x=detail&library_id=443
- https://www.ioes.saga-u.ac.jp/jp/ocean_energy/about_wave_0
- https://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/common/200074589.pdf
- https://www.semanticscholar.org/paper/b745a99e597357f0cc4312a67dce48707bb962ac
- https://www.semanticscholar.org/paper/dd9f5b3a2dab0a6e67fae1da610b38e6d24b20c0
- https://www.semanticscholar.org/paper/bdbd378a2133f3b13614924815c48065ac78f5d7
- https://www.semanticscholar.org/paper/72cadb8a7009d0b3804e0aa8e942d3d0d6a1b23f
- https://fccj.jp/jp/aboutfuelcell.html
- https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=2
- https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=4
- https://www.city.beppu.oita.jp/pdf/sangyou/environment/alternative_energy/about/biomass.pdf
- https://www.energia.co.jp/energy/general/newene/newene3.html
- https://enechange.jp/articles/biomass_power_generation
- https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/nenryodenchi_01.html
- https://www.esco-co.jp/useful/bio-mass/
- https://stockmark.co.jp/coevo/hydrogen-energy
- https://www.ifs.tohoku.ac.jp/nanoint/jpn/about/index.html
- https://www.hydrogen-nagoya.jp/about/
- https://www.semanticscholar.org/paper/e6ebbcf28ef398463bada548e09a3ff7c70e6da0
- https://www.semanticscholar.org/paper/7b0402fca544ad3850289c0ab3974ef30c9baba0
- https://www.semanticscholar.org/paper/f754e6257cfa07e50b3893338c95d706f6d561bf
- https://www.semanticscholar.org/paper/92ca0d8945d729d22545b2982ec124dcec12d5a7
- https://denki.marubeni.co.jp/column/fip/
- https://www.mcgc.com/sustainability/environment/carbonneutral.html
- https://www.jst.go.jp/crds/sympo/20230825_IJ/pdf/TP20230825-2.pdf
- https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/45212/
- https://arc.asahi-kasei.co.jp/member/watching/pdf/w_263-08.pdf
- https://www.env.go.jp/council/06earth/y060-90/900423550.pdf
- https://eleminist.com/article/3573
- https://shizenenergy.net/decarbonization_support/column_seminar/fip_fit/
- https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/ontai/carbon-neutral-roadmap.html
- https://www.mext.go.jp/content/20230927-mxt_kankyou-000026439_4.pdf
- https://www.irena.org/News/pressreleases/2024/Oct/Highest-Annual-Growth-of-Renewables-Jobs-in-2023-Reaching-16-point-2-Million-JP
- https://u-power.jp/sdgs/future/000444.html
- https://www.fit-portal.go.jp/publicinfosummary
- https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html
- https://www.semanticscholar.org/paper/95d6d023c9cd443e03ba624ebf8d3668add3c8b8
- https://arxiv.org/pdf/2109.08363.pdf
- https://arxiv.org/abs/2310.19430
- https://arxiv.org/pdf/2105.13713.pdf
- https://arxiv.org/pdf/1002.4331.pdf
- http://arxiv.org/pdf/2206.08373.pdf
- https://arxiv.org/pdf/2007.14342.pdf
- https://www.kyocera.co.jp/solar/support/topics/system/
- https://www.chuden.co.jp/energy/ene_about/electric/kids_denki/tsukuru/tsu_solar/
- https://sol.kepco.jp/useful/taiyoko/w/taiyoko_shikumi/
- https://www.tainavi.com/basic-knowledge/
- https://www.semanticscholar.org/paper/f91a1c87d8a74f7fa9c949324f6014080fc49c83
- https://www.semanticscholar.org/paper/5814b91cf973a564ff8a406b933db190435927b3
- https://www.semanticscholar.org/paper/7c0716575c7dcbe570e12f4cf77155b8f3ef706e
- https://www.semanticscholar.org/paper/bf6492c4cdddab460810dc39067c7cdb1bbdeeb9
- https://www.semanticscholar.org/paper/203c74828c452d75849ce84a51e3e9611d81846c
- https://www.egmkt.co.jp/column/consumer/605/
- https://www.city.ojiya.niigata.jp/soshiki/kankyo/new-energy.html
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%8D%E7%94%9F%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC
- https://www.semanticscholar.org/paper/aed8e82cc892cb1e5c582c3f0cb8043ff72f2b59
- https://www.semanticscholar.org/paper/29f7d0fe6f23d919976c50de72e4c39438d14306
- https://www.semanticscholar.org/paper/77d9c4d84ee8a0597b34855e8589130176916aab
- https://www.semanticscholar.org/paper/e3a0aff81c093e62b2fac4e30ea306c2c33c58cf
- https://www.semanticscholar.org/paper/6db6ec16a1729a54b633beab3f810704976209eb
- https://www.semanticscholar.org/paper/a10255ff888ea1923a8368449fa9eb038902ff3f
- https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/data/202402_water_tebiki.pdf
- https://www.nedo.go.jp/content/100544823.pdf
- https://www.city.beppu.oita.jp/pdf/sangyou/environment/alternative_energy/about/suiryoku.pdf
- https://www.semanticscholar.org/paper/e0210960a071dbd52a6924a2a4a977632eef0733
- https://www.kepco.co.jp/siteinfo/faq/new_energy/9098945_10603.html
- https://www.ene100.jp/force-download.php?file=https%3A%2F%2Fwww.ene100.jp%2Fwww%2Fwp-content%2Fuploads%2Fzumen%2F03.pdf
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC
- https://www.semanticscholar.org/paper/d17e417bdd4731f1eadcdff5f7af5ab57904721a
- https://www.semanticscholar.org/paper/ebe0fe36b984304351c6d80a7f806dc49032a581
- https://www.semanticscholar.org/paper/20acf4f4abb179a20ed12b8d149ac905c02749c9
- https://www.semanticscholar.org/paper/e90c16fe6e2cd64310e8d62def2da424353cb993
- https://www.semanticscholar.org/paper/6483ec65a6b26bae009042d43adad0790082cca2
- https://www.semanticscholar.org/paper/1b53abab61c2784a057659859272075ba8b2e98a
- https://pps-net.org/glossary/2410
- https://ikusei.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/kouenn1.pdf
- https://www.semanticscholar.org/paper/4f9416c4db3ba4ada108479b4060438037f9af41
- https://www.semanticscholar.org/paper/e6f84bd03ce26704736f6f1e426598b7e9d798ab
- https://www.semanticscholar.org/paper/02fce6d9c866aacfe3928db61ecad6629a7e8156
- https://www.semanticscholar.org/paper/107caf8d6efacc31d70baf47bb8754219e886225
- https://www.semanticscholar.org/paper/3dcdc76730ef410bad6ba623eb6a9b485509f581
- https://www.semanticscholar.org/paper/3027f42dbeae8fd34cd6e64e31ecd3a26020f7ca
- https://www.chuden.co.jp/energy/renew/ren_shikumi/bio_shikumi/
- https://looop-denki.com/home/denkinavi/energy/powergeneration/biomass/
- https://green-transformation.jp/media/sustainability/069/
- https://www.semanticscholar.org/paper/e072d76e3446c025aa00056000e8c675a4004cfe
- https://www.semanticscholar.org/paper/805d9ba1d76cf9a1582a5083143ae959afaebed0
- https://www.semanticscholar.org/paper/2dc639be48f41c4568d035e49ebb5e6a365b6d1a
- https://www.semanticscholar.org/paper/189e1fc7977a271b60cb605d2b3904f425dd0b13
- https://www.semanticscholar.org/paper/3be94b2e16130d8e030b16c5dc5d7927ee6c7208
- https://www.semanticscholar.org/paper/92021c7e0470bd18d35f9a71b8fc2056cd103074
- https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/063_s01_00.pdf
- https://www.isep.or.jp/archives/library/14885
- https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2023/07.html
- https://asuene.com/media/156/
- https://gurilabo.igrid.co.jp/article/3329/
- https://www.ricoh.co.jp/magazines/green-transformation/column/renewable-energy-effect/
- https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/095_01_00.pdf
※本ページは、AIの活用や研究に関連する原理・機器・デバイスについて学ぶために、個人的に整理・記述しているものです。内容には誤りや見落としが含まれている可能性もありますので、もしお気づきの点やご助言等ございましたら、ご連絡いただけますと幸いです。
※本ページの内容は、個人的な学習および情報整理を目的として提供しているものであり、その正確性、完全性、有用性等についていかなる保証も行いません。本ページの情報を利用したこと、または利用できなかったことによって発生した損害(直接的・間接的・特別・偶発的・結果的損害を含みますが、これらに限りません)について、当方は一切責任を負いません。ご利用は利用者ご自身の責任でお願いいたします。